鳥インフルエンザ防疫・消毒用への石灰使用について
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1.鳥インフルエンザで石灰が使用されたこと知っていますか? |
わが国で今年1月11日、山口県阿武郡阿東町で鳥インフルエンザ(正式名は高病原性鳥イ
ンフルエンザ)が確認されて以降、大分、京都で相次いで確認され、養鶏業を営む人々ばかり
でなく消費者も巻き込んだ日本中の大問題に至ったことはご存知の通りです。
ところで、一部、新聞、テレビなどマスコミでも報道されましたが、この鳥インフルエンザの防疫・消毒用に多くの石灰が使用され伝染防止に大きな力を発揮しました。
普段一般の人々には、石灰について、ライン引きに使われたり、畑に撒いたりする位しか、余り馴染みのないかもしれませんので、今回の鳥インフルエンザ向けに使われた石灰の実態について調査した結果を簡単にご紹介致します。 |
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2.石灰が鳥インフルエンザ防疫・消毒用使用された根拠は? |
国が定めた「家畜伝染病予防法」という法律があり、その施行規則に鳥インフルエンザが発生した場合の対処の仕方が定められています。今回の山口県、京都府もこの規則の定めに従って、使用しました。
先ず、家畜伝染病予防法では、
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「同法第17条」に、発生した場合、都道府県理知事は、まん延防止のためその家畜の殺処分を命ずることができること。 |
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「同法第21条」に、処分した家畜は焼却又は埋却しなければならないこと。 |
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「同法第25条」に、発生した畜舎等の施設を消毒しなければならないこと。 |
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が定められ、これらを実施するための具体的基準として
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「同法施行規則第29条」に焼却、埋却等の基準として「焼却、埋却等及び消毒についての農林水産省令で定める基準は別表第二の通り」とし、その別表の中で
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別表第二の二埋却の基準の項に |
「埋却の方法 2 死体の上に厚く生石灰をまいて土でおおう。・・」と記載。 |
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別表第二の三消毒の基準の項に |
「薬物消毒 1 消石灰による消毒 生石灰に少量の水を加え、消石灰の粉末として直ちに消毒目的物に十分さん布する」と記載があり、注意として、消毒の実施の基準が記載されている。 |
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以上が、今回防疫・消毒用に使われた法的根拠となっています。 |
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3.今回の鳥インフルエンザで実際に使われた石灰の種類とその量は? |
日本石灰協会の緊急調査した結果は、下記の通りでした。 |
調 査 先: |
会員・組合員全91社 |
調査依頼日: |
平成16年3月19日 |
調査締切日: |
平成16年3月24日 |
調査結果: |
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1月〜3/24 |
3/25〜5月見込み |
生 石 灰 |
165.0 t |
181.0 t |
消石灰(粉) |
823.4 t |
499.0 t |
〃(粒) |
1,683.9 t |
948.0 t |
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合 計 |
2,672.3t |
1,628.0 t |
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同調べによると、使用都道府県別では、京都府向けが最も数量が多く向けられましたが、予防用消毒の利用も多く、1府24県への出荷がありました。 |
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4.今回京都の発生現場で、粒状消石灰が使用されたのは何故? |
大量に散布するためにエアーを使った機械撒布を採用しましたが、粉末では、うまく撒布できないとの理由で、京都府、全農などの関係機関が協議の上、粒状の消石灰が採用されました。 |
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5.鳥インフルエンザ終息? |
今回の山口、大分、京都での発生は、終息宣言が出されましたが、今後の発生がないとは言えません。今回の苦い経験を生かして今後の予防、対策に役立てることが最も大切です。
石灰も、今回その効力を発揮し伝染防止、消毒に使用されたことについてご紹介しましたが、もとより、発生後に使用されることは業界として本望ではありません、日頃からの予防対策を講ずることで、再発生がないことを願っています。 |
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以上
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