空気を守る
ごみ焼却炉の大気汚染防止
清掃工場等から発生する排ガス中の塩化水素 や硫黄酸化物を消石灰や生石灰を煙道に吹 込み中和除去します。また、より有害な重金 属やダイオキシン対応の石灰製品も使用され ます。
火力発電所、工場の大気汚染防止
火力発電所や工場では、発電機やボイラーを運転するために 重油や石炭等を燃やしていますが、この排ガス中には有害な硫黄 酸化物が含まれています。石灰は、排ガス中に含まれている硫 黄酸化物と反応して石膏に変わり、排ガスを浄化します。生成さ れた石膏は、石膏ボードやプラスター、セメントの原材料として 再利用されています。
水を守る
上水道・下水道の浄化
浄水場では、河川や湖沼などから取り入れた水の濁りや細菌類 を、消石灰などの薬品を添加して凝集・沈殿、その上澄みを利 用しておいしい安全な飲料水にします。
消石灰は浄化を早めると同時に、pH の調整や、鉄管のサビに よる赤水の発生を防止する効果も有ります。
下水処理場では、活性汚泥法という方法で汚水を浄化します。この方法 は、汚水に空気を送り込んで、特定の細菌を繁殖させ、水中の有機物(汚物) を細菌に捕食させた後、細菌(汚泥)を水中から凝集・沈殿、分離すること により水を浄化します。浄化した水は、その後河川に放流されます。沈殿 した汚泥は分離・脱水され、焼却処分や堆肥として利用されます。消石灰 は無機凝集剤と併用され、汚泥の凝集・沈殿、脱水を容易にし、更に脱臭 作用や殺菌作用により環境の維持に役立っています。
中和処理
日本の河川の中には、火山に由来する硫化物イオンなどが降雨で溶出し たり、温泉水として河川に流入することなどにより酸性を示す河川が有りま す。強い酸性の河川では魚などの生物が生息できない、河川の水が農作 物や飲料に適さない、河川水と接触する鉄やコンクリートなどを用いた建 造物の損傷が激しいなど、様々な悪影響があります。そのため、石灰を河 川に加え、酸性河川水の中和が行なわれています。又半導体製造工場や 化学工場などの工場排水、鉱山からの廃水にも各種酸性物質が含まれるた め、石灰を加えて中和・除去し、排水の水質改善に利用しています。海外 では、酸性雨により酸性化した環境の蘇生のため、中和目的で石灰を湖沼 に投入したり、森林の土壌などに散布しています。
水質、底質改善
汚水の流入などにより悪化した河川や湖沼の水質、底質改善対策として 石灰が用いられています。悪臭の原因となる硫化水素ガスの発生抑制や、 堆積した汚泥の分解促進、りん及び重金属の固定により赤潮や青潮の発生 を防ぎます。
土を守る
土壌汚染対策
生石灰の水和発熱反応を利用し、土壌中の VOC(揮発性有機化合物) の揮発を促進することにより、土壌汚染浄化に利用されています。又、環 境中に拡散した放射性セシウムに対し、土壌の除染作業にも石灰は用いら れています。