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土を改良する石灰(地盤改良)
土は私達にとって身近な存在です。生活に欠かせない稲や麦、野菜はもとより花や木も土に根をおろしています。マイホームやビル、道路、鉄道や空港の設備なども下の方で土がしっかりと支えているのです。
日頃なにげなく見過ごしている土は このように私達の生活と深い係わり合いをもっています。ところが土には、水分が少なくよく締まって関取のような力強いものから、水分が多く軟らかくて幼児のように力の弱い土まであります。土が幼児のように力の弱い土では建物や道などを支える力が不足します。そこで、力の弱い土に生石灰を混ぜ合わせ、ローラーなどで締め固めると力の強い立派な土に生れ変り、建物や道路などをしっかりと支えることができるようになります。
これは生石灰が土の中で消石灰に変わるとき、多量の水を吸収すると、さらに時間がたつと石灰と土とが化学反応によって、しっかりと手をつなぎ硬く固まるからです。これを石灰安定処理といいます。水分が少なく割合に強い土の場合には、消石灰や湿潤消石灰が使われます。石灰安定処理は道路や宅地造成、鉄道、空港、建物の基礎工事、また建設残土の処理や再利用など広範囲に及んでいます。
アスファルト舗装
道路のアスファルト舗装をする場合、骨材(砂利、砂)の他に耐久性を高めるため に石灰石微粉末(炭カル)を混合します。また、水を吸収しやすい骨材を使用する 場合には、剥離防止のため消石灰が混合されています。
飛行場の改良
滑走路は飛行機の離着陸に大きな力がかかります。そこで滑走路、エプロンの路床 部分が石灰によって改良されています。
残土リサイクル
建設残土や浚渫汚泥をリサイクルするための材料としても使われています。
埋立地の改良
海岸地帯の埋立地は軟らかな 土で埋められています。そこ に工場やコンテナ置場などを 造成する場合、軟弱地盤は石 灰によって改良されています。
深い部分の混合
建物の基礎などで数十メートル程度の深い部分まで地盤の強度を高めるために石灰 によって改良を行っています。 ・生石灰を地中にパイル状に打設する方法 ・石灰を地中で、プロペラで混合する方法。
路体(盛土)・路床・路盤の改良
高速道路、国道、一般道路の砕石の下の土は必要な強度が満たされない時には、 石灰によって改良を行っています。
建設資材としての石灰
左官材料
江戸の昔から石灰は火災予防上から重要な左官材料でした。消石灰に「つのまた」等の糊剤と「すさ」等の繊維を混ぜて壁に塗る「漆喰塗り」が長い間使われてきました。壁に塗りつけられた消石灰は空気中の二酸化炭素を吸収して炭酸カルシウムに変化し、強固な壁ができるのです。ドロマイト質の消石灰でつくったものは「ドロマイトブラスター」と呼ばれ。糊剤がいらないという特徴があります。
ALC(軽量気泡コンクリート)
北欧で開発された建材ですが、軽い、燃えない、断熱性がよい、施工し易い等の特徴があるので、ここ20年位の間に広く用いられるようになりました。
本来は、鋸で切って現場に合わせるブロック型の建材でしたが、地震の多いわが国では鉄筋を入れ、注文によって現場の寸法に合わせた製品が工場で作られます。
製造方法としては生石灰とけい石(砂)とを粉砕混合し、これに水を練り混ぜ、錆止め加工した鉄筋を組込んだ型枠にアルミニウム等発泡剤を加えて注入固化させ、さらにオートクレーブ(高圧蒸気釜)で石灰とけい石を反応させ、けい酸カルシウム水和物を生成させてつくります。
けい酸カルシウム板
ALCと同じけい酸カルシウム水和物と繊維との複合素材で、断熱材、耐火被覆材、内装材、外装材等広く用いられています。
つくり方は、石灰(主として消石灰)と「けいそう土」等けい酸質原料に補強繊維を混ぜ、水で溶き、紙をつくる時のように抄造(すきとり)板状とし、オートクレーブでけい酸カルシウム水和物を生成させます。
けい酸カルシウム保温材
ボイラーや各種機器配管の保温や断熱材として用いられるものです。つくり方はけい酸カルシウム板と似ていますが、微細な気孔をもつ軽い成形体とする為の工夫がなされています。