海水マグネシア
鋼をとかす転炉などに張る耐火物の素材であるマグネシア(MgO)は、わが国では鉱物資源(マグネサイト)を産出しないので、海水から取り出しています。海水に石灰乳を加えると、石灰は溶け出して、海水中のマグネシウムが沈降します。得られた水酸化マグネシウムは、高温で焼成して、マグネシアクリンカーをつくり、これは製鋼用転炉や電気炉、セメント焼成炉等に使う塩基性耐火物の素材となります。この他、公害防止、肥料、建材、重油ボイラの腐食防止、金属マグネシウムの原料などマグネシアにはいろいろな用途があります
紙・パルプ工業
包装紙等に使うクラフトパルプは、木材を、苛性 ソーダを含む液で煮てつくりますが、この排液から 苛性ソーダを回収するために生石灰が使われていま す。蒸解処理工程から発生した液を黒液と称して燃 焼処理をした後、水に溶解させると炭酸ソーダを主 成分とする緑液が得られます。この緑液に生石灰を 混合するとナトリウムとカルシウムが交換して苛性ソーダ溶液と炭酸カルシウムの混合スラリーとなり、ここから固形 の炭酸カルシウムを分離することによって苛性ソーダを回収します。また多くのパルプ工場で次亜塩素酸カルシウム (さらし粉)が使用されており、その原料にも石灰が使われています。繊維から紙を作る段階でも、炭酸カルシウム(重 質炭酸カルシウム及び軽質炭酸カルシウム)が填料(紙の強度向上)や顔料(紙の光沢度向上)として使用されます。
カルシウムカーバイト
生石灰にコークス(炭素)を配合し、電気炉でとかしてつくります。カーバイトは水と反応させてアセチレンをつくり、合成ゴムの原料や溶接用等に使います。また、窒素と反応させて石灰窒素(肥料)や石灰窒素誘導体をつくります。またカーバイトは製鋼で脱硫剤としても使用されます