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年頭所感

会長挨拶

                  日本石灰協会会長 上田和男


            2025年(令和7年)年頭所感


 
2025年の年頭に当たり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
昨年は元日に石川県能登地方を震源とする地震、翌2日には羽田空港で航空機衝突事故が発生するなど、大変な滑り出しの年でした。更に能登地方では9月に洪水が追い打ちを掛け「複合災害」が復旧・復興を遅らせ、12月下旬時点で少なくとも2万人を超える方が、仮住まいや避難生活を余儀なくされているとの事です。県外の親せき宅にいる人などは自治体も正確には把握出来ず、実際は更に多いと思います。多くの皆さんに一日も早い日常が戻ります事を心から祈っております。
日本は世界有数の「地震国」です。1995年阪神・淡路大震災、2011年東日本大震災、2016年熊本、2018年北海道、そして昨年は能登半島と巨大地震が頻発、8月には「南海トラフ地震臨時情報」が初めて発出されました。
地球温暖化によるとされる甚大な風水害も後を絶ちません。自然災害に加えて、感染症もあり、経営上のリスクは枚挙に暇が有りません。各自での「事業継続計画BCP」の重要性が高まっていますが、地区内外の連携・協力が必要だと考えます。
さて、昨年は長引くウクライナ戦争に加え、イスラエルのガザへの攻撃など中東、東アジアの地政学的リスクの拡大がみられ、政治、経済的にも揺れに揺れた年でした。
70以上の国・地域で重要な選挙が有りましたが、日本・韓国・台湾・インド・フランス・ドイツ・オランダ等、民主主義陣営の与党が議席を減らし、米国・日本・英国・台湾・インドネシア・メキシコ・イランでは首脳が交代しました。これらに共通するのは国民のインフレに対する現政権、与党に対しての不満がノーを突き付けた形でした。
国内に目を転じると日経平均株価は、6月の37年ぶりの1ドル161円台まで進んだ円安により、輸出関連株を中心に上昇、7月、終値として過去最高42,224円となりました。しかし定着するには力不足であり、8月には史上最大の4,451円下げ、翌日には史上最高の3,217円高と歴史的な乱高下を記録。そして12月30日の大納会では、これまで最高であった1989年の終値38,915円を上回る39,894円となりました。
今年2025年の干支は巳。相場格言の「辰巳天井」とは、株価が今年、天井でピークアウトする意味です。36年前の1989年の巳年は、年末値がジンクス通りピークを迎え、その後34年間超えられない天井となってしまいました。果たして今年は?
さて、電力はデータセンター需要の増加を踏まえ、2040年の電力需要予想は2023年度から最大20%増加すると言われており、日本の産業界は、安価で安定する大量の脱炭素電力を必要とします。
経済産業省は、脱炭素社会の実現と安定供給可能な現実的エネルギー政策として2040年の電源構成を定めた「新エネルギー基本計画」を策定。太陽光や風力等の再生可能エネルギーの比率を最大5割まで高める計画です。その実現の為、薄くて軽い次世代太陽電池「ペロブスカイト太陽電池」の量産と洋上風力発電の大型プロジェクトを開始させます。これは新たな産業の勃興であり、脱炭素と経済成長の両立を目指す政策です。
現在電源の7割を占める火力の大幅な削減が必要です。その為に燃焼時、CO₂が出ない水素発電や排出したCO₂の回収し貯留する技術の支援を推し進める計画です。又、再生可能エネルギーと共に安全を前提とした原子力発電を最大限活用する案も示されました。
2月、「パリ協定」が求める5年毎の目標提出期限が来ます。経産省と環境省は「新たな地球温暖化対策計画」の原案調整に入りました。
2035年度に13年度比60%削減、40年度に73%削減としていますが、これは現状の2030年目標2013年度比▲46%を2050年にゼロまで伸ばす直線上の数値です。
さて、経済産業省が取り組む「成長志向型カーボンプライシング構想」排出権取引制度(GX-ETSグリーントランスフォーメーション・エミッション・トレーディング・システム)が法制化され、2026年度から、排出量が多い企業の参加が義務付けされます。対象は電力を除くSCOP1(プロセスを含む)です。CO₂排出量が年間10万t以上の石灰会社にもヒヤリングが開始されました。
石灰協会としては、米国や欧州の石灰業界の脱炭素に対する活動や情報を正確に伝えると共に石灰事業におけるCO₂排出量の多くがその製造プロセスで排出されると言う特殊性に理解を得るべく意見具申し、産業別での基準値算定の制度設計に盛り込んで頂ければと考えています。
脱炭素時代、日本として、石灰業界として、脱炭素の歩みは止めることは出来ませんが、脱炭素が国力・産業を奪うものであってはなりません。日本の経済安全保障上、重要な鉄鋼・化学をはじめ、日本のモノづくりにおいて、石灰産業は不可欠です。私は、脱炭素社会の中で「日本にモノづくりをどう残すか?」と言う日本ビジョンの中核に石灰産業は位置付けられるべきと考えます。
「日本石灰協会」と「日本石灰工業組合」の一体化に関してご報告いたします。
今からさかのぼること75年、先の大戦終結から5年の昭和25年(1950年)日本は未だアメリカの占領下において、日本石灰協会の前身である「日本石灰協議会」は設立されました。そして6年後の昭和31年(1956年)に「日本石灰協会」に改称しました。
昭和48年(1973年)第一次オイルショックが発生、石灰業界は「中小企業構造改善特定業種」の指定を受け、対応すべく日本石灰協会とは別に「中小企業団体の組織」に関する認可団体として「日本石灰工業組合」を発足し、業界として構造改善を推し進めました。
 
その後、「中小企業構造改善事業」は終結、「日本石灰工業組合」の本来の役割は終わりましたが、両団体を継続して運営して参りました。
 
昨年、2団体の統合について、機が熟したと判断、4月の理事会にて正式に提案、慎重に理事会での議論を重ねた後、11月の理事会において「2025年3月、日本石灰工業組合の臨時総会を開催し、同3月末をもって解散し、日本石灰協会に統合する事」を決議しました。
現在、事務局から引き続き業界活動にご尽力頂きたく、改めて「日本石灰協会」への加入をお願いしている所であります。
最後に「昭和100年」となる年、干支の「巳」の脱皮を繰り返し成長するイメージから「復活と再生」新しい事が始まる年と言われています。
激動の2025年、協会も生まれ変わります。
1月15日には新型コロナウィルス感染症が第五類に移行して2回目の新年賀詞交歓会を開催する事が出来ました。コロナによる制限「失われた3年」を取り戻すべく、会員の皆様のご支援の下、最大限の事業を展開して参る所存であります。
引き続きの変わらぬご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げますと共に会員各社の益々のご隆盛と会員の皆様のご健勝とご多幸をお祈りいたしまして、新年号の発刊に当たり、一言ご挨拶をさせて頂きました。


日本石灰協会
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新虎ノ門実業会館9F
TEL.03-3504-1601
FAX.03-3593-1604
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