会長挨拶

日本石灰協会会長 上田和男
2026年(令和8年)年頭所感
2026年の年頭に当たり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
元旦は全国的に穏やかで、美しい初日の出を見る事が出来ました。
しかし3日未明、米国トランプ大統領は、中南米の反米政権の1つ、ベネズエラに対して軍事行動を加え、大統領夫妻を拘束すると言う強硬手段に打って出ました。これは「西半球を最重要視」するトランプ大統領の国家戦略の具現化と共に原油埋蔵量世界一の権益を狙った行動と見られます。
昨年の世界は、トランプ関税に始まる米国の保護主義政策に振り回されました。
本来、通商政策である「関税」を政治外交ツールの1つとして活用、同じ価値を供する西側諸国へもカードを乱発。戦後80年築き上げられた自由と法による秩序の破壊です。
国内景気の回復が見込めない中国は過剰生産能力の問題を解決出来ず、全世界にデフレを輸出し続け、各国はその対抗措置として、様々な理由を付けて自国産業保護、関税を掛け合う、正に泥仕合の様相です。
WTO(世界貿易機構)の理念、自由で公正な貿易環境は葬られたと言わざるを得ません。
ロシアによるウクライナ侵攻以降、中東のイスラエルとイスラム組織の衝突、台湾、南シナ海、朝鮮半島等、地政学的リスクも高まる一方です。
各国は、安全保障・経済安保を確立する上でも、自国優先の政策を進め、自国領域内での産業サプライチェーンを構築、世界の分断・対立は深まっています。
このトレンドにより、台湾や韓国に集中していた先端半導体のグローバルサプライチェーンの再編が加速、素材・製造装置に秀でた日本での投資が期待されます。
懸念材料は、米中対立の長期化や世界的に盛り上がるデータセンター投資や半導体需要を牽引している過熱気味のAIブームの失速です。
昨年の日本経済は、消費者物価が2%を上回る水準で推移し、株価はバブル崩壊後の高値を更新する等、デフレ脱却への兆しが見え、今年は緩やかなペースでの回復が第一シナリオです。しかし高市首相の台湾発言に対する中国は強硬姿勢が、レアアースの取引停止にまで発展するリスクが有ります。加えて、60年振りの通常国会冒頭解散となれば、来年度予算の成立は越年となり、選挙による政治の空白も影を落とします。
31年前の1月17日未明に発生した阪神大震災、その後も東日本大震災、能登半島地震と日本列島は揺れ続いています。高市総理が掲げる「17の戦略的分野」の1つであり、我々業界も深くかかわる「防災・国土強靭化」事業も遅れる。災害は待ってくれません。
2025年は産業革命前からの気温上昇を1.5度以内に抑える目標を掲げる国際枠組み「パリ協定」の採択から10年。昨年11月、温暖化対策を話し合うCOP30がブラジルで開催されましたが、そこには温室効果ガス排出量世界2位のアメリカの姿はありませんでした。
AIの普及によるエネルギー消費が増大する中、米国の離脱、欧州の政権基盤のぐらつき、経済の停滞、そしてロシアのウクライナ侵攻により膨らんだエネルギーの供給不安等が、全世界で気候変動対策の優先度を下げています。
COP30では、2030年代以降、数十年に渡り、1.5度を上回る「オーバーシュート」は避けられそうにないと言うのが大方の共通認識となったようです。
わが国では2050年のカーボンニュートラルに向けて、GX政策が本格化、GX-ETS(排出量取引)の市場が2027年秋ごろに開設される見込みです。
経済産業省から諮問を受けた有識者会議が2026年度の上下限価格案をまとめたところによると1t当たり1,700円から4,300円としているが、モノづくりをする上で、その負担は非常に重いと考えています。
日本鉄鋼業界は「GXスティール」に関するガイドラインを大幅に改定しました。
これは通常の鋼材と比べ相当に割高となる製品を社会全体で受け入れる市場形成の為の第一歩と位置付けています。革新的技術の実装化、価格転嫁と市場の承認と超えなくてはならない高いハードルは続きます。
トラック運転手の残業規制強化による物流混乱が指摘された「2024年問題」に続き、今年4月「物流効率化法」が本格運用される。荷主の義務として、役員クラスの物流統括管理者の選任、積載率の向上や荷待ち・荷役時間の改善等を実現する中長期計画の策定とその進捗を国に報告する事。また、燃料費や人権費等を基に国が「適正原価」を定め、下回る運賃での委託・受託の禁止等も盛り込まれています。
2026年は荷主も運送事業者も対応に追われる年となるでしょう。
更にトラック新法では、これまで許可を取ればトラック運送業を無制限にできたものが5年毎の更新制になります。高年齢化が進む中小運送会社の廃業が心配です。
物を作りお客様に届ける。このサプライチェーンの維持は業界全体の重要課題です。
1社では出来ない業界共通の課題解決が「協会」の役割です。
様々な考えを持ち寄って、よりよい事業環境を作りましょう。
最後に今年は、スポーツイベントが目白押しです。
2月 イタリアのミラノ・コルティ冬季パラ・オリンピック
3月 WBCワールドベースボールクラッシック、侍ジャパンは2023年に続く2度目の連覇へ
6月 北中米でのサッカーワールドカップ
9月 愛知県でアジア最大のスポーツの祭典「アジア競技大会」45の国・地域から参加
日本代表の活躍が、日本を元気にしてくれます。
日本代表を応援しましょう。
結びに日本石灰協会の会員各社の益々のご隆盛と会員の皆様のご健勝とご多幸をお祈り致しまして、新年号の発刊に当たり、一言、ご挨拶させて頂きました。


