■特集012 石にまつわる話「 北海道編 」
 当誌では、《石と私たちシリーズ》として、全国の石灰に関連があると思われる「石」や「鍾乳洞」等をシリーズで紹介していますが、今回は、雄大な北海道から、スケールの大きな「鍾乳洞」をご紹介しょうと思いましたが、北海道には「鍾乳洞」と名がつけられている所は、5か所しかなくて、しかも、その大半が閉鎖・調査中であり、観光出来る所は、たったの2か所しか有りませんでした。ガッカリ・・・
 では、その貴重な2か所の「鍾乳洞」とは?

〔中頓別鍾乳洞〕
 北海道の最北、稚内市より約100km南下した山中の中頓別町郊外にあり、新生代三紀という新しい地質時代の、石灰岩中にできた洞穴という点でも、珍しいものだそうです。第1洞・第3洞・第4洞とあるのですが、観光出来るのは第1洞のみで、全長が約60mで、人が一人立って入るのがやっとのとても小さな「鍾乳洞」です。    
芝桜が満開の春に行かれると、感動(?)する「鐘乳洞」です。

〔当麻鍾乳洞〕

 北海道の中央部に位置し、北海道指定の天然記念物(昭和36年3月指定)では、唯一一般公開されている由緒ある「鍾乳洞」です。
 全長約135m、高さ7〜8mの小規模ながら、北海道最大の「鍾乳洞」となります。
 この「鍾乳洞」の特徴は、不純物が少ないため結晶度がきわめて良い状態にあることと、入口と出口が同じ場所にあり、何度でも回って見られること。(入場料500円も決して高くないですよね)
 とても綺麗な鐘乳管や石筍・石柱・カーテンなどもしっかり見られますよ。
 残念ながら現在、北海道の「鍾乳洞」のご紹介は上記
のみですが、近い将来、北海道の何処かの「鐘乳洞」が立派な観光「鍾乳洞」となり、また、皆さんにご紹介出来ることを、楽しみにしたいと思います。
 名    前 
 所  在  地 
 備       考 
恵山御崎鍾乳洞 亀田郡恵山町 1999年に冶山工事中に発見 調査中
美利川温泉鍾乳洞  瀬棚郡今金町 下部に35℃前後の温泉プール  調査中 
島牧神威鍾乳洞 島牧郡島牧村 不明 閉鎖中
当麻鍾乳洞 上川郡当麻町 昭和32年に発見 公開中
中頓別鍾乳洞 枝幸郡中頓別町 第3・第4洞調査中 公開中
 「石と私」北海道編 後半は、北海道胆振地区で産出する白亜紀の「化石」についてご紹介します。石灰とはあまり関係ありませんが、白亜(チョーク)というところで少し、かすっているでしょうか?(地方連絡員 近藤節子記)

●穂別のクビナガリュウ
 クビナガリュウの化石は、昭和50年6月穂別川の支流サヌシュベ川上流部、白亜紀の地層から、穂別在住の荒木新太郎氏によって発見されました。翌翌年7月、穂別町教育委員会を中心に大規模な発掘作業が始まり、5年後の昭和57年12月に博物館はオープンしました。ロビーには、このとき発見された海竜の骨格復元模型があります。

 クビナガリュウは、中生代ジュラ紀から白亜紀(約1億9500万年前〜6500万年前)に多く生息した海竜で、その仲間には頭が小さくて首の長い「プレシオサウルス類」と、頭が 大きくて首の短い「プリオサウルス類」の二つがあり、穂別の海竜はプレシオサウルス類の中でも特に首の長いエラスモサウルス科に属することがわかっています。
 ホベツアラキリュウと名付けられたこの体長8mの海の爬虫類は、この科のなかでは、中型の部類に入ることになります。

 発掘されたノジュール(硬い泥の塊)をクリーニングした結果、ヒレ骨・指骨・肋骨・肩腰骨・脊椎骨・胃石 等412点の化石が取り出されました。
 見つかっていない頭部・首の骨は、これまで発見・研究・報告されているエラスモサウルスの仲間の平均的な頭の形・骨の数を元に、骨格復元が行われました。




●中生代の海の生き物
 穂別では、現在生きているオサガメの先祖と考えられるメソダーモリケス(ウミガメ)や、
モササウルスの仲間(オオトカゲ)など海生爬虫類の化石が相次いで見つかりました。  また、それらの生き物の餌となっていた、頭足類(イカやタコの仲間)のアンモナイト、イノセラムス類、その他の貝類や、サケ・うなぎを含む真骨魚類も繁栄していたようです。北海道はとくに、白亜紀後期(約9000万年前以降)のアンモナイトが300種以上出土しています。
 以前から、アンモナイトは多く産出していたので、学校の体験学習等で化石掘りに
出かけることもありましたが、最近はあまり見つからなくなったようです。それでも、
台風や大雨の後には山の上から泥と一緒に化石の入ったノジュールが流れてくることが
ある。と博物館の館長さんは話していました。


●化石の町穂別
ここで穂別町のPRをします。町名の穂別はアイヌ語「ポンペツ」(小川の意味)から
転化したものといわれています。中心部の街灯には、クビナガリュウやアンモナイトの
オブジェがあしらわれています。野外博物館にも、12基のモニュメントが置いてあり
首をもたげた海竜には、ちょっと驚きます。特産品は、赤い果肉のメロンが筆頭です。


穂別町立博物館
勇払郡穂別町字穂別80 01454-5-3141
開館時間  9時30分〜16時30分
入 館 料  一般300円 小〜高校生100円
交  通  札幌より車で2時間
http://www.spirifer.net/hakubutukanhokkaidou.htm
上記は北海道地方の博物館を紹介しているホームページです
クビナガリュウは穂別の他、小平町で1体、中川町で2体出ています。
そちらの博物館のホームページもここから開くことができます。
(地方連絡員 佐藤知美記)